看護師に必要な資質として忘れてはならないことが、「ミスをしても落ち込まない」ということです。気持ちの切り替えを早くすると言ったほうがいいかもしれません。いずれにせよ、看護師の仕事を始めたばかりの頃はミスをするのが当たり前と考えてもいいかもしれません。もちろん医療事故につながるようなミスを犯してはいけません。それは当然のことです。医療事故を起こせば自分自身が逮捕・拘留されることにもなりかねませんし、場合によっては病院の存続自体も危ぶまれるほど大変なことになります。そのような大きな医療事故のケースは除いて、日常の些細なミスは誰しもしてしまうものです。
 看護師として働き始めたばかりの頃はそれほど重要な仕事を任されるわけではありません。プリセプターもついてくれるので、それほど心配することはありません。ですが、働き始めてしばらく経って、プリセプターもはずれるくらいの頃にミスをしてしまうかもしれません。それはどんな職場でもあることですが、伝達するのを忘れたり、書類の記入に不備があったりなどなんらかのミスをしてしまうことがあります。逆に言うと、ミスを一切しない新人などはどんな職場にもいません。ですからミスをしても次につなげると考えて、心を強く持たなくてはなりません。
 当然のことながら、ミスをすれば、先輩看護師にひどく怒られたりします。人の命を扱う現場でのミスは、それこそ命に関わる問題につながります。小さなミスの積み重ねが大きなミス、ひいては医療事故へとつながるのです。ですから、病院内では小さなミスさえも許されない雰囲気に満ちています。そのときに、ミスを反省し、次につなげることは非常に重要ですが、必要以上に落ち込んで、自分は看護師に向いていないのではないかと落ち込みすぎるのも考え物です。
 ミスは決して許されるものではありません。最大限の努力をしてミスをなくさなければなりません。なぜなら医療の現場では小さなミスを許していると、それはいずれ大きな医療事故につながるのですから。しかし、同時にミスを一切しないという人もいません。どんな人も失敗のひとつやふたつあるに決まっています。立派な看護師になるには、そのミスをどれだけ次に活かせるかというところにかかっています。次に活かせるミスならば、大いに反省した後、それを糧として次に進んでいけばいいのです。
 ミスをしても落ち込まず、次につなげていける、強い気持ちが看護師には大切なのです。